story 未来に語り継ぎたい名馬物語
未来に語り継ぎたい名馬物語 67
ジャパンC史上最高評価の優勝馬
エピファネイアが導きし思い
2021年11月号掲載掲載
名牝シーザリオの仔として生を受け、競走馬として菊花賞とジャパンCを制したエピファネイア。
GI勝利はその2勝にとどまるも、その走りは底知れぬ可能性を抱かせるには十分なものだった。
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2014年ジャパンCで4馬身差の圧勝劇を演じたエピファネイアのクリストフ・スミヨン騎手は、レース後、しばらく経ってもまだ興奮冷めやらぬ様子でこんなことを言った。
「今まで乗った日本の馬の中で、この馬がいちばん強いと思います」
記者たちが一瞬、どよめいた。どよめくなというのが無理な話だった。
それまでスミヨン騎手は何度も短期免許で来日し、GI馬にも多く跨っていた。キンシャサノキセキ、リトルアマポーラ、トーセンジョーダン。4年前にはブエナビスタで天皇賞(秋)を勝ち、ジャパンCも降着にはなったが1位で入線していた。なにより、前年と前々年には凱旋門賞でオルフェーヴルに乗っていた。
どよめきはしたが、しかしみんな胸の中で頷いてもいた。やっぱりそうなのか。スミヨンが言うんだから、そうなのかもしれない。そのくらいジャパンCのパフォーマンスは凄まじかった。そしてエピファネイアは、もしかしたらこれでもまだ能力のすべてを見せていない可能性がある馬だと、誰もが知っていたからだった。
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