story 未来に語り継ぎたい名馬物語
未来に語り継ぎたい名馬物語 63
挫折と栄光を横山典弘騎手と共に
メジロライアンの歩んだ道
2021年6月号掲載掲載
メジログループが得ていない
タイトルへ高まる期待
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89年、2歳7月の函館開催でデビューしたメジロライアンは、初勝利まで4戦を要した。主戦となる横山典弘は3戦目の未勝利戦で初めて手綱をとり、4戦目の東京芝1600㍍戦で初勝利に導いた。デビュー4年目、まだ「☆」が付く見習だった。
12月3日の葉牡丹賞(中山芝2000㍍、400万下)は安田富男で5着。鞍上が横山に戻った12月23日のひいらぎ賞(中山芝1600㍍、400万下)では7番人気という低評価を覆しての勝利。4コーナーでもまだ12番手だったが、直線坂を上がってからの伸びが圧巻だった。
年明け初戦のジュニアC(中山芝2000㍍)も断然人気馬を差し切って勝利。いよいよクラシックが見えてきた。そして臨んだ弥生賞は2番人気。単枠指定(9頭立て以上のレースで、人気が集中しそうな馬を単枠(1枠1頭)に指定する制度)で断然人気に支持されたアイネスフウジンは、逃げたものの不良馬場に苦しめられた。直線、メジロライアンは馬群から一気に突き抜けた。道悪への適性はその後の武器にもなった。
“新星誕生”。クラシックへ向けての期待が一気に高まった。“メジロ”の冠号で知られるメジログループは、それまで天皇賞4勝に、菊花賞も勝っていたが、皐月賞、日本ダービーのタイトルはなかった。かつてそのメジロの主戦騎手として活躍したのは、典弘の父である富雄。この年、正月の金杯・東をメジロモントレーで制していた典弘は、その“メジロ”の期待を、父から引き継ぐことになった。
2番人気の支持を受けた皐月賞は、追い込み届かず3着。勝ったのは、未勝利戦からきさらぎ賞まで5連勝で臨んだハクタイセイ。弥生賞に続いて1番人気に支持されたアイネスフウジンは4コーナー手前で先頭に立ったもののクビ差2着。メジロライアンはそこから1馬身3/4遅れてのゴールだった。
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