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story 未来に語り継ぎたい名馬物語

未来に語り継ぎたい名馬物語 14

数々の名勝負を残した流星の貴公子
テンポイントの運命

江面 弘也 KOYA EZURA

2016年6月号掲載

流星の貴公子と呼ばれたテンポイント。生誕にまつわる秘話から、ライバルと繰り広げた数々の名勝負、さらに悲劇の最期など、語り尽くせぬほどのドラマを抱える名馬であった。

    日本競馬史上、最高の名勝負とも謳われる77年有馬記念。実質、テンポイント(右)とトウショウボーイ(左)の〝マッチレース”であった©H.Imai/JRA

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    『優駿』の編集部から本稿の依頼がくる3、4カ月前のことである。深夜、仕事の合間に覗いていた音楽配信サイトで『山崎ハコ ライブセット』というアルバムを見つけた。

     テンポイントファンならばぴんときただろう。「テンポイントの詩」が収められていたのだ。寺山修司が書いたテンポイントの追悼詩「さらば、テンポイント」(『旅路の果て』所収)に山崎が曲をつけて歌った作品である。

     わたしは当時もいまも寺山修司や山崎ハコの独特の世界観にはどうしてもなじめないのだが、それでもずっと忘れていた同級生の名前を耳にしたような奇妙な高揚感をおぼえ、三十何年ぶりかに「テンポイントの詩」を聴いた。

    〈もし朝が来たら
     グリーングラスは霧のなかで調教するつもりだった…〉
     暗い、なつかしい歌がきこえてきた。

    ©H.Imai/JRA

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